「校庭の青梅シロップ」は、栃木県にある上三川中学校の「交通公園」と呼ばれる校庭の一部に生えている、約10本の梅の木から採れる梅の実を使って、学校支援コーディネーター(学校支援にかかる地域コーディネーター)が生徒たちと一緒に手作りしたものです。

学校支援コーディネーターは、文部科学省が2008年から各都道府県に委託して推進している制度で、小学校や中学校と連携を図りながら、保護者や地域のボランティアの方たちの窓口となるなど協働活動を推進していく役割を担うボランティアの方たちです。

梅シロップが商品化される以前にも、梅雨の時期になるとたくさん採れる梅の実を学校活動の支援に充てようと、生の梅を直売所などで売ってもらうことはありましたが、それは保存するのが難しく、こまめに収穫や配送、管理などを行う必要があるためコーディネーターや生徒たちにはかなり負担になっていました。

その頃、疲労回復や熱中症防止のためと、ときどきその梅を使って手作りで梅シロップや梅漬けなどを作って夏休みの部活動に参加する生徒や先生に配っていた先生が退職され、校内のあちらこちらから「また梅シロップが飲みたいね」という声が聞こえてきました。

それらの声に応える形でコーディネーターの方たちが、生徒たちと一緒に「梅シロップ」を作り、それをみんなで飲むだけでなく、販売して学校活動の支援に充てることを企画しました。

梅の収穫は、「上中園芸部」と名付けた町のおばちゃん・おっちゃん達のボランティアと生徒たちが一緒になって行います。部活動の合間に手伝ってくれる生徒などもいて、それはかなり盛り上がります。

収穫された梅は、園芸部のオトナと生徒たちが一緒になって、学校の家庭科室で下処理を行い、氷砂糖と一緒に貯蔵瓶に詰められます。参加してくれた生徒たちには、家庭に持ち帰って自分たちで作る分も分けられました。

この梅と砂糖の瓶は校長室の隣の部屋に並べられ、生徒たちが毎日、上下にひっくり返すことを繰り返すことで梅シロップができあがります。
瓶詰めに参加出来なかった生徒たちも、このひっくり返す作業に参加してくれて、日々、氷砂糖が少しずつ溶けていく様子を見守ってくれました。
そしてこの作業を毎日、毎日、休みの日も続けること約1か月で、梅シロップが出来上がります。

出来上がった梅シロップの瓶詰め作業は、地元の加工所にお願いします。
そして、卒業生が協賛してくれたラベルを、今度は生徒たちが1本1本手で貼っていきます。2021年のラベルは、女子テニス部と陸上部の生徒たちが貼ってくれました。

この梅シロップは、最初は中学生にとって身近な、文房具屋さんや、制服を取り扱っているお店などへ置いてもらいました。ただ、そのうちに売っているお店の方たちが「もっと多くのお店で売ってもらった方がいいよ。」と販売先を増やしてくれて、最初4店舗だった販売店が今年は9店舗に増え、また地元新聞で取り上げられた効果もあって、販売量も初年度の約5倍になっているようです。

そもそも、学校とは地域の人とともにあるものであり、子どもたちを育むのは学校や親だけでなく、地域の人たちみんなで育んでいく。梅シロップは、その象徴になったのではないかと思います。
地域の人たちみんなで子どもたちを育み、子どもたちが元気になれば、自然に地域も町も元気になる。そんな学校の原風景を思い出させてくれた気がします。

梅シロップの価格は、みんなが買いやすいようにと、硬貨で買える最高額の500円。消費税の上乗せも許されません!なお、販売とは言っていますが、どのお店も500円で仕入れて、500円で販売しているため、一切儲けはありません。

カテルでは、当初からこの試みに賛同し協賛していたので、今回はコーディネーターの方に無理を言って、宇都宮市のトチギマーケットとネットで販売することをお願いしました。
それはこのような活動こそ、上三川町の外で知ってもらうことが大切だと思ったからです。

上三川町は、栃木県の県庁所在地である宇都宮の南側にある人口3万人そこそこの小さな町です。
昭和40年代の初めに誘致した日産栃木工場とともに成長してきましたが、それ以外では農業が主な産業であり、これといった特徴もない地方の小都市です。(って言いきったら地元の人に怒られそうなので、怒られる前に謝っておきます。ごめんなさい。)

そんな上三川町で、地元のオトナと中学生が、学校で採れた梅の実を使って「梅シロップ」という製品を学校で企画・製造し、そして地元のお店の方が協力してくれて販売していること。
そしてそのおいしさが、一般の人から評価してもらえて、あっという間に完売してしまう人気商品になったということ。
その結果、中学校で先生や生徒が必要だと思うことに自由に使える資金を得たということ。

この、学校にあるものを、知恵を出して、地域のオトナと生徒が一緒になって商品化し、それを販売することで資金化して、自分たちが必要なものを購入する資金を得る仕組みを作ったということを、この梅シロップという製品を買うということを通じて、もっと多くの人に知ってもらいたい。
東京や有名な観光地などでなら容易なことかも知れませんが、北関東の小さな町でも、こういうことができていることが素晴らしいと思います。

生徒たちが自分たちで言い始めた『上中ブランド』

この流れをカテルは、今後も、全面的にバックアップしていきたいと思っています。
そしていつか、『上中ブランド』の製品が全国の人に楽しんでもらえることを願っています。

そうしたら、生徒のみんなは何を買うんでしょうか。
とても、楽しみです。

「校庭の青梅シロップ」は、以下のショップでお買い求めいただけます。

  • NIPPON MARKET
  • TOCHIGI MARKET SHIRTS & SOUNDS
  • TOCHIGI MARKET ONLINE SHOP

「校庭の青梅」プロジェクトは、地元紙にも取り上げられました。

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